近年、夏季の高温化が進み、工場や倉庫などの作業現場では熱中症のリスクが高まっています。
これを受け、2025年6月1日より、企業に対して熱中症対策が法的に義務付けられることとなりました。
違反した場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
義務化の背景
厚生労働省の調査によると、職場における熱中症による死傷者数は増加傾向にあり、2022年以降、労働災害による死亡者数全体の約4%が熱中症によるものと報告されています。特に初期症状の見逃しや対応の遅れが重篤化の要因とされており、これらを防ぐための対策が求められています。
義務化される熱中症対策の内容
新たに義務化される対策は、以下の3点です。
1.報告体制の整備
熱中症の自覚症状がある労働者や、熱中症の疑いがある労働者を発見した場合に、速やかに報告できる体制を整備することが求められます。
具体的には、緊急連絡網の作成や、緊急搬送先の連絡先・所在地の明示などが含まれます。
2.実施手順の作成
熱中症の疑いがある労働者を把握した際に、迅速かつ的確な対応ができるよう、作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送などの手順を事前に作成する必要があります。
3.関係者への周知
上記の報告体制や実施手順について、労働者を含む関係者全員に周知し、万が一の際に適切に機能するようにしておくことが求められます。
対象となる作業環境
義務化の対象となるのは、以下の条件を満たす作業環境です。
・気温が31度以上、または湿球黒球温度(WBGT)が28度以上
・その環境下で、連続1時間以上または1日4時間以上の作業が見込まれる場合
これらの条件に該当する作業場では、上記の対策を講じることが義務付けられます。
工場・倉庫における具体的な対策例
工場や倉庫では、以下のような具体的な対策が効果的です。
遮熱対策の強化
屋根や壁に遮熱塗料を塗布することで、室内温度の上昇を抑えることができます。
また、窓に遮熱フィルムを貼ることで、日射熱の侵入を防ぐことが可能です。
換気設備の導入
大型扇風機や給排気フードを設置することで、室内の空気を循環させ、熱気を排出することができます。
冷却設備の設置
スポットクーラーやミストファンを導入することで、作業者の周囲の温度を下げ、快適な作業環境を提供できます。
作業スケジュールの見直し
高温時間帯を避けた作業スケジュールの策定や、休憩時間の確保を行うことで、労働者の負担を軽減できます。
教育・訓練の実施
熱中症の初期症状や対処法について、定期的な教育や訓練を実施し、労働者の意識を高めることが重要です。
まとめ
2025年6月からの熱中症対策義務化により、企業は従業員の安全確保と法令遵守のため、適切な対策を講じる必要があります。特に工場や倉庫などの高温環境下で作業を行う現場では、遮熱対策や換気設備の導入、作業スケジュールの見直しなど、具体的な対策を早急に検討・実施することが求められます。これらの取り組みにより、従業員の健康を守り、企業としての社会的責任を果たすことができるでしょう。
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